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記事: エルメス エヴリン完全ガイド Vol.1 - もっと知りたい、アイコンの素顔

エルメス エヴリン完全ガイド Vol.1 - もっと知りたい、アイコンの素顔
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エルメス エヴリン完全ガイド Vol.1 - もっと知りたい、アイコンの素顔

エルメスのバッグといえば、やっぱりバーキンやケリーが主役。…と思いきや、本当にエルメスが好きな人たちが「これぞ!」と選ぶ、とっておきのバッグがあるのをご存知ですか?それが、今回主役の「エヴリン」なんです。

もともとは、馬のお手入れ道具を入れるためのバッグとして誕生しました。だからすごく機能的。その無駄のない究極にシンプルなデザインが、時を経てたくさんの人に愛されるようになり、今ではリラックス感のある名品バッグとしてすっかりお馴染みになりましたよね。

この連載「エルメス エヴリン完全ガイド」では、ただのスペック紹介じゃなく、エヴリンのディープな世界にご案内します。どうやって生まれたの?デザインにはどんな意味があるの?など、知れば知るほど好きになる、そんなストーリーをたっぷりお届けします。

連載第1回目の今回は、エヴリン誕生の裏話から、あの特徴的なデザインの秘密、そして今に至るまでのモデルチェンジの歴史を追いかけてみましょう。すでにエヴリンを持っているあなたも、これから欲しいなと思っているあなたも、「へぇ!」と思える発見があるはずです。

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Chapter 1:厩舎で生まれたってホント? - エヴリン誕生の物語

どんな素敵なアイテムにも、グッとくる誕生ストーリーがありますよね。エヴリンも、エルメスの原点が馬具工房だということを改めて感じさせてくれる、素敵なストーリーを持っているんです。

生みの親、エヴリーヌ・ベルトランってどんな人?

エヴリンが生まれたのは1978年。作ったのは、当時エルメスの馬具部門を率いていた女性デザイナー、エヴリーヌ・ベルトラン。彼女自身も大の馬好きで、乗馬を愛する人でした。

彼女のデザインは、とにかく「使いやすさ」が第一。見た目だけのかっこよさじゃなくて、すべての形にちゃんとした意味がある、という考え方です。これってまさに、エルメスが馬具作りでずっと大切にしてきた職人魂そのもの。自分の名前を付けたことからも、このエヴリンが彼女にとっていかに特別な作品だったかが伝わってきますよね。

「用の美」から生まれた、本来の使いみち

じゃあ、エヴリンって、もともと何を入れるためのバッグだったんでしょう?
答えは「馬のグルーミングセット」。つまり、馬をブラッシングしたり、お手入れするための道具入れだったんです。ブラシやクシ、ひづめを掃除する道具など、ちょっと湿っていたり汚れたりしたものを運ぶためのものだったんですね。

この「目的」があったからこそ、エヴリンのあのユニークなデザインが生まれました。Hのパンチングマークも、裏地がないのも、全部「なるほど!」な理由があるんです。次の章で、その秘密をじっくり見ていきましょう!

Chapter 2:デザインの秘密を徹底解剖!

エヴリンのデザインって、すごくシンプル。でも、その一つひとつに、馬のお手入れ道具を運ぶための賢いアイデアが詰まっているんです。

Hマークのパンチング、本当はロゴじゃなかった?

エヴリンといえば、やっぱりHのパンチングマーク。でもこれ、実はブランドロゴとして付けられたんじゃないって知ってましたか?

本来の役割は、ずばり「通気口」
馬の手入れで湿ったブラシなんかを入れても、中がムレないように風を通すための穴だったんです。だから、型押しとかプリントじゃなくて、穴を開ける「パンチング」が選ばれたわけです。面白いですよね!

これを知ると、「なるほど!」って思うのがエヴリンの持ち方。発売されたばかりの頃、エルメスがおすすめしていたのは、「Hマーク側を体にくっつけて持つ」スタイルでした。Hはあくまで機能であって、ブランドをアピールするためのものではなかったんですね。Hを内側にすれば、バッグの中身が服に当たる心配もないし、外側はすっきりキレイなレザー面が見えて上品、というわけです。

もちろん、今はHマークを外側に見せて持つのが普通ですし、それも素敵な楽しみ方。でも、このストーリーを知っていると、エヴリンのちょっと奥ゆかしい魅力や、使いやすさを一番に考えるエルメスの姿勢が感じられて、もっと愛着が湧きませんか?

なぜ裏地がないの?究極のシンプルさの理由

ふつう、高級なバッグの中って、きれいな布やレザーで裏地が張られていますよね。でもエヴリンの中をのぞくと、多くのモデルは革の裏側がそのまま。そのちょっとラフな感じがまた魅力でもあります。

これも、もとはグルーミングキットだったから。汚れた道具をガシガシ入れられるように、あえて裏地を付けなかったんです。もし内側がツルツルのライニングだったら、泥や水分をサッと拭き取るのも気を使っちゃいますよね。この潔さが、エヴリンをただのおしゃれバッグじゃなく、毎日使える最高の「相棒」にしてくれる理由なんです。

革の選び方と、通な人だけが知るお手入れのコツ

裏地がないということは、使っている革そのもののクオリティが命。表も裏も、ごまかしが効きません。エルメスは、エヴリンのカジュアルな雰囲気と丈夫さ、そして一枚革の美しさを一番引き出せる革を、ちゃんと選んでいます。

よく使われるのは、「トリヨン・クレマンス」や「ヴォー・エプソン」。

  • トリヨン・クレマンス: くたっと柔らかくて、体に優しくフィットするのがいいところ。使えば使うほど味が出て、自分だけのバッグに育っていきます。
  • ヴォー・エプソン: きちんとした印象の型押しレザー。傷や水にも強くて形が崩れにくいから、毎日アクティブに使う人にはぴったりです。

こんな素敵な革のバッグ、せっかくだから長くきれいに使いたいですよね。そのためには、ほんのちょっとした毎日の習慣が大切なんです。特に、裏地のないエヴリンの内部は、きれいなスエード状ですが、ホコリや小さなゴミが意外とたまりやすいんです。

本当にエヴリンを大切にしている人たちの間では、一日の終わりにカシミヤや馬毛みたいな、すごく柔らかい専用のバッグケアブラシで中をさっとブラッシングするのが定番のお手入れ。こうすることで、繊維の奥に入った汚れが取れて、革が呼吸できるようになるんです。高価なクリームもいいけれど、一番愛情が伝わるケアって、実はこの一手間だったりします。これを続けるだけで、10年後のバッグのコンディションが全然違ってくるんですよ。

Chapter 3:どう変わってきたの?歴代モデルをチェック!

1978年に生まれてから、エヴリンは時代の空気や使う人の声に合わせて、少しずつアップデートされてきました。ポケットが付いたり、ストラップが変わったり。その歴史を知ると、モデルごとのキャラクターがわかって、自分にぴったりのエヴリンが見つかるはずです。

Evelyne I (エヴリン・アン):すべてはここから始まった

一番最初のモデルが、この「エヴリン I」。後のすべてのモデルのお手本になった、元祖エヴリンです。デザインは、これでもか!というくらいミニマル。

  • 外ポケットなし
  • ストラップの長さは変えられない
  • ストラップは取り外しOK

まさに「道具入れ」としてのオリジナルの姿を一番よく残しているモデルです。その潔いシンプルさがたまらない!と、今でもヴィンテージ品を探しているファンがたくさんいます。

Evelyne II (エヴリン・ドゥ):ちょっと便利に進化したレアモデル

「エヴリン II」は、「ポケットがあったらもっと便利なのに」という声に応えて、初めて改良が加えられたモデル。2000年代の初め頃に登場しました。

  • 背中にぺたっとしたポケットが付いた!(ボタンはなし)
  • ストラップの長さはやっぱり変えられない
  • ストラップは取り外しOK

このポケット一つで、使いやすさがぐんとアップ。スマホやカードケースみたいな、すぐ取り出したいものを入れられるようになって、街で使うデイリーバッグとしての人気が高まりました。今はもう作られていないので、中古市場でしか出会えないちょっとレアなモデルです。

Evelyne III (エヴリン・トロワ):みんなが知ってる今のエヴリン

そして、現在ブティックに並んでいるのが、この「エヴリン III」。エヴリンの進化の、一つの完成形とも言えるモデルです。

  • 背中ポケットあり
  • ついに、ストラップの長さが調節可能に!
  • ストラップは取り外しOK

ストラップの長さが変えられるようになったのは、本当に大きな変化!身長や服装に合わせて、肩掛けにしたり、斜めがけにしたり、自由自在に楽しめるようになりました。ファッション性と機能性をどっちも叶えたエヴリン IIIは、今の私たちの暮らしにぴったりのモデルですね。

Evelyne Sellier (エヴリン・セリエ):新しい顔を持つ、もう一つのエヴリン

2016年頃に出てきた「エヴリン・セリエ」は、今までのエヴリンのイメージをガラッと変えた、とってもモダンなモデルです。「セリエ」はフランス語で「馬具職人」という意味。エルメスの原点と新しさがミックスされています。

  • Hマークがパンチングじゃなくて、ぷっくりした型押しになっている
  • 革の断面が強調された、カチッとしたきれいめなデザイン
  • 裏地のない一枚革っていう基本は同じ

Hロゴが型押しになったことで、通気口っていう機能的な意味合いから、もっとおしゃれなアイコンに変わりました。形もかっちりしているので、カジュアルなエヴリンとはまた違う、ちょっとドレッシーな雰囲気。エヴリンの歴史に新しい風を吹き込んだモデルと言えますね。


エヴリン完全ガイドの第1回、楽しんでいただけましたか?

今回は、エヴリンがただのバッグじゃなくて、ちゃんとした目的と哲学から生まれた「用の美」の塊なんだってことを、歴史やデザインの細かい部分からお話ししてみました。

馬具職人のこだわりが詰まったこのバッグは、時代に合わせて進化しつつも、大切なスピリットは変わらない。そこがまた魅力ですよね。

でも、エヴリンの奥深い話はまだまだこれからです。次回のVol.2では、TPM、PM、GM、TGMのサイズ選びのコツと、多くの人が悩む「ストラップ問題」とその解決法を、もっと詳しくお話しします。特に、ストラップを交換するだけでエヴリンがもっと使いやすく、もっと自分らしくなる方法は、全オーナーさん必見ですよ。どうぞお楽しみに!

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