
【Hermès店員さんに聞いた】一生モノのバッグを「ダメにする」意外な行動とは?
「せっかく買ったエルメスのバッグ、もったいなくて使えない…」「普段は使わないから、ホコリがかぶらないようにしまっておこう」そう思っていませんか?実は、その考え方こそが、バッグの寿命を縮めてしまう原因かもしれません。
この記事では、最高級レザーの特性と、ブランドの哲学に基づいた、エルメスが推奨する正しいお手入れ方法と、絶対にやってはいけないNG行動をまとめました。
1. なぜ「使うこと」が最高のケアなのか
「保管しておけば大丈夫」と思われがちですが、エルメスの担当の店員さんから最も強く言われたのは、「どのレザーも最低でも月に1回は使用すること」でした。
エルメスが教える、革が栄養を必要とする理由
- 革は生きている:人間の汗や空気中の油分が、間接的に革に潤いを与え、乾燥や劣化を防ぎます。使わずに放置することは、革から栄養を奪うのと同じことなのです。
- 放置はカビの大敵:特に湿度の高い日本では、長期間の放置はカビの温床となります。一度カビが生えると、専門のクリーニングでも胞子を完全に取り除くことはできません。
この原則は、革の種類を問いません。担当の店員さんによると、トゴやエプソンといった型押しレザーも、スイフトのような繊細なレザーも、共通して「月に一度は使うこと」が重要だそうです。これは、エルメスがすべての革に等しく、同じ愛情を注いでほしいと考えていることの表れなのかもしれません。
放置が招く革の物理的劣化:バッグを「使わなければならない」科学的な理由
本革は「呼吸する素材」であり、適度な湿度(50〜60%が理想)と油分を必要とします。乾燥が極端に進むと、繊維から水分が抜け、ひび割れ(クラック)の原因になります。「使う」ことは、革に「適度な刺激(油分補充)」と「換気」を与える、ブランドが推奨する理にかなったケアなのです。
また、カビは革の持つ栄養分(油分)を分解し始め、繊維に入り込むため、プロでも完全除去が非常に困難なのです。ビニール製の袋や密閉空間など、通気性の悪い場所での放置は厳禁です。
2. 絶対にNG!担当の店員さんが警告する3つのこと、最高級レザーの特性
市販品でのケアは便利そうに思えますが、エルメスのバッグにとっては致命的な間違いです。
担当の店員さんからの直伝アドバイス:メンテナンス拒否にも繋がる厳格なルール
| NG行動 | 理由とリスク |
|---|---|
| 市販の革用クリーム | エルメスでのメンテナンス時に化学反応を起こし、色が変色する可能性がある。使用が判明した場合、公式メンテナンスを全て断られるリスクがある。 |
| 急激な乾燥(ドライヤー・浴室乾燥機) | 革のコラーゲン繊維が急速に収縮し、硬化、ひび割れ、型崩れにつながる。一度縮むと元の柔軟な状態には戻せない。 |
| 湿度の高い場所での保管 | 長期間の放置はカビの温床となり、一度生えるとプロでも完全除去が困難。クローゼットの奥や床に近い場所は特に危険。 |
💡 自宅で実践できる!理想的な保管場所
一般的なご家庭では、クローゼットの中でも比較的湿気がこもりにくい「上段」や、日常的に人が出入りして空気が動くリビングの棚などが適しています。逆に、床に近い場所や押し入れの奥など、湿気が溜まりやすい場所は避けましょう。
市販品がブランドの品質管理を崩す仕組み:なぜ他社製品が使えないのか?
エルメスが市販品の利用をお断りし、厳格なルールを設定しているのは、「バッグの寿命=ブランドの信頼」と捉えているからではないでしょうか。
- 繊細な仕上げと成分: 最高級の革は、独自の油脂分を含んでいたり、化学薬品の使用を最小限に抑えた繊細な鞣しが施されています。市販のクリームに含まれる溶剤やシリコンなどが、この独自の成分バランスを崩し、シミや変色を起こしやすいため、使用が厳しく制限されます。
- 品質保証の維持: エルメスが使用自体を禁じているのは、自社のメンテナンスで完璧に修復できる状態を保つために、「純正品以外は使わないでほしい」というルールを設定しているのだと思います。
バッグをダメにするNG保管物:意外なアイテムにも要注意
通気性の確保のほかに、保管時に防虫剤やゼリー状の乾燥剤にも注意が必要です。これらの成分が革に触れると、革が変質(硬化・収縮)を引き起こす可能性があるため、バッグと同じ場所に密着させて置くのは避けましょう。
3. 雨に濡れたら「こすらずたたく」が鉄則
突然の雨でバッグが濡れてしまったら、焦ってゴシゴシ拭いていませんか?
担当の店員さんからの直伝アドバイス:
雨水には排気ガスなどの汚れが含まれている可能性があるため、こすらず、乾いた布で優しく叩くようにして水気を取りましょう。
「日頃からケアをしているかどうかで、その後の対応が変わる」とも教えてくれました。ケアが行き届いていない革は水分を吸い込みやすく、膨張してしまう危険性もあるそうです。
ダメージを最小限に抑える技術:「こすらずたたく」べき理由
「こすらずたたく」という鉄則は、ダメージを最小限に抑えるための技術です。濡れた革をこすると摩擦による傷や色落ちが発生したり、雨水に含まれる不純物を繊維の奥に押し込んだりするリスクがあるからです。
また、水に濡れることで、革の繊維に含まれている大切な油分までもが一緒に蒸発してしまうため、水濡れ後の保湿ケアが非常に重要になります。
4. 傷もまた「愛すべき個性」
エルメスのバッグは、使う人とともに歳を重ねていくパートナーです。
エルメスが大切にする価値観:傷はあなただけの歴史の証
担当の店員さんは、特にデリケートなスイフトの革について、こんな話をしてくれました。
スイフトは傷がつきやすいですが、担当の店員さんは「その傷も、フランス流の考え方で愛してほしい」と語ります。使い込むうちに色が馴染み、その傷が「自分のオリジナル」になるのです。
この哲学はメンテナンスにも反映されています。エルメスのメンテナンスは、外側のクリーニングと保湿が主です。内側は、あなたがバッグとともに過ごした歴史の証として、経年変化を楽しむためのものだから、と。
5. プロに任せる!エルメスの公式メンテナンスサービス
担当の店員さんからの直伝アドバイス:5年に一度のプロの診断
エルメスは、5年に1回程度の定期的なメンテナンスを推奨しています。
費用と期間は?
メンテナンスにかかる費用や期間について伺ったところ、「持ち込まれたバッグの状態によって大きく異なるため、一概に金額を提示することはできません」とのことでした。一つ一つのバッグを、その歴史や状態に合わせて丁寧に診断し、最適なケアを施すというエルメスのプロフェッショナルな姿勢がうかがえます。
6. 今すぐできる!大切なバッグを美しく保つ「はじめの一歩」
担当の店員さんからの直伝アドバイス:
特別なことより日々の愛情を。エルメスが推奨するケアは、特別な技術や高価なクリームではありません。日々のブラッシングと乾拭きが最も大切なのです。
日常ケアの役割分担:このルーティンこそが鍵
この日常のルーティンこそ、バッグの寿命を劇的に変えるものです。
| ケアの種類 | 役割 | 効果 |
|---|---|---|
| ブラッシング | 馬毛などの柔らかいブラシで行う | 革の毛穴に入り込んだホコリや汚れを掻き出し、革が「呼吸」できる状態を保ちます。縫い目などの細かい部分の汚れ除去に特に効果的です。 |
| 乾拭き | 一日の終わりに優しく行う | 手垢や空気中の油分を拭き取り、革本来の自然な艶(ツヤ)を引き出しキープする効果があります。 |
ブラッシングは、革の表面についたホコリや汚れを優しく取り除き、革本来の美しさを引き出す、最も基本的なケアです。特にエルメスのバッグはデリケートなため、毛先が柔らかく、革を傷つけないブラシを選ぶことが重要です。

